続々々々々々々々々々々々々々々・智恵子(小)
はじめに
この物語はある作家(家族の強い要望により匿名)の智恵子(小)との深い愛憎の様子を作家本人が記した日記である。
作家自身は発表の場を求めていたが、家族の強い反対により、商業誌での発表は見送られた。そのため千年より作家の匿名、また作家を特定できるような個所の非公開を条件としてその一部をSAKANAFISHにて公表しつづけているものである。
2月3日
節分。近年は豆など撒くことは無くなったが、どうにも落ち着かぬ。無性に豆を撒かねばならぬ気がしながら執筆。智恵子(小)、後悔という文字をポッキーで作る。
2月4日
立春。温暖化の影響か、まさに春かと思う陽気。散歩。梅の蕾もほころびかける。帰り際、女性に声をかけられる。楚々とした妙齢の美女。このような世代にも読まれていると文士冥利に尽きる。帰宅。智恵子(小)、プリッツで「大後悔」との文字。
2月5日
終日執筆。ふと昨日の美女を思い出し、なにやら散歩に出向きたくなる気持ちを抑える。智恵子(小)、忍耐の喜びダンス。
2月6日
終日執筆の予定。しかし夕刻頃居ても立ってもいられず散歩。一昨日の場所をうろうろするが、逢えず。帰宅後、智恵子(小)、ギリギリセーフ祭り。
2月7日
終日執筆。智恵子(小)、一安心流しそうめん。
2月8日
終日執筆の予定。しかし夕刻頃居ても立ってもいられず散歩。あの場所をうろうろする。見覚えのある後ろ姿。声をかけようとするが、躊躇。帰宅後、智恵子(小)、そっちへ行ってはいけない人形。
2月9日
(記述なし)
2月10日
まさかあのような場所で運命の出会いがあろうとは。思わずペンも弾む。昨日の日記もつけられなかった。智恵子(小)、今ならまだ引き返せるぞビーム。隣家半焼。
2月11日
彼女から電話。明日来訪するという。ペンも手に着かぬ。智恵子(小)、これはもうだめかもわからんねラプソディー。
2月12日
朝から落ち着かぬ。意味もなくウロウロしている。昼頃チャイム。慌てて出ると糞藪橘糞。叩き出す。彼女から電話で、明日になるという。智恵子(小)、運命の過酷さ呪う運動。
2月13日
(記述なし)
2月14日
夢のような。家の中に彼女がいる。まさかこのようなことになろうとは。すべての色が変わって見える。智恵子(小)、そろそろ荷物をまとめた方がいいかもしれない呼吸。
2月15日
心弾む日々。彼女の姿を飽かず眺める。智恵子なんとか、不動産屋巡りグルーヴ。
2月16日
終日彼女の隣で執筆。ペンも弾みに弾む。それはもう弾む。ちなんとか、何かしているようだが気にもならぬ。
2月17日
なおも続く幸福の日々。永遠に続けば。何か小さな幻が見えるような気もしないでもない。
2月18日
ラブラブラブラヴ。ラヴラヴラヴラブ。
2月19日
彼女の姿を飽かず眺める。透き通るような肌、憂いを秘めた濡れた瞳、長く艶やかな髪、鋭く尖った角。もう一本。何度でも見ていられる。嗚呼。
2月20日
犬と猿と雉を連れた小さな何かが家に乱入。何をする。