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}【これまでのあらすじ】
ある寒い日、ホームズは昔の事件を語り出した。
大学時代の同級生レジナルド・マスグレーヴに関する事件だ。
ある日、マスグレーヴはロンドンベイカー街にあるホームズの事務所を訪れた。
地方選出議員も務めるマスグレーヴ家の執事とメイドがいなくなったというのだ。
愛妻ホプキンス警部のお出かけのキスをうけたホームズは、西サセックスのハールストンに向かうのだったが、鉄道はハイジャックにあってしまう。しかし、ホームズの機転でハイジャック犯は見事に撃退されたのだった。
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いくらハイジャックがマスグレーヴ家の事件と関係ないからって経緯を捏造するなよ。 | |
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ハイジャック犯は勝手に降りていっただけで、撃退なんかしてないだろ。 |
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じゃあどんな風にして撃退したか言ってみろ。 |
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そんな事件と関係ないことを掘り下げても何にもならないさ。
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そもそも関係ないところであれだけ引っ張ったのは誰だっ! |
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いきなり着くな! |
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昔の喫茶店じゃないんだからな。
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| それにしてもマスグレーヴ、こんなに広大な屋敷なのに、どうして使用人が一人もいないんだい。 |
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それがなんだよホームズ、執事が全てやってくれてたものだから、使用人の給料を払う方法もわからないんだ。 |
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その割りには一人で汽車に乗ってロンドンまで来たじゃないか。 |
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| だから今では、屋敷のすべての掃除、料理の支度、領地の経営、地方議員としての職務、すべてを一人でやらなきゃいけないんだ。 |
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それだけ出来て給料の支払いだけどうして出来ないんだ。 | |
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まだ食うのか。 |
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| 今からフルコースを作るからちょっと待っててくれよ、ホームズ。 |
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フルコースを一人で作るのかよ。 |
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| ああ、その間にちょっと執事とメイドの部屋を調べさせてもらうよ。
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やっと事件の捜査らしくなったなあ。 |
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だから喫茶店じゃないって。
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一目でおかしいとわかるのか。 |
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| よく整頓された本棚、ほこり一つ無いテーブル、そして趣味のいい調度品…。
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ほう。 |
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そして棚に整然と並んだティーセット…コーヒーメーカー…。
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ティーセット? |
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| そして裏のロッカーに従業員の私物…。レジスター…。 |
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喫茶店じゃないかっ! |
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さっき喫茶店じゃないって言った自らの不明を恥じるといい。
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いや恥じる気は全くない。
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| だが、ロッカーを見ると財布や私物がきちんと残っている。駆け落ちとはとても思えないな。 |
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やっぱりそうなのか。
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ふむ。
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…………。 |
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いつものってなんだよ。 |
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何がお得意だ。 |
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| ほらほら、恥じることはないと言っておきながら、やはり恥ずかしいのだな!自らの不明が!恥じろ!恥じろ!不明を恥じろ! |
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こんな訳のわからん屋敷のことが推測できなくっても恥ずかしいことなど全くないよ。
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| よく整頓された本棚、ほこり一つ無いテーブル、そして趣味のいい調度品…。 |
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同じじゃないか。
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そして棚に整然と並んだティーセット…コーヒーメーカー…。 |
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やっぱり喫茶店か。
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うどん? | |
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………。
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知るかっ! | |
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| さっき「やっぱり喫茶店か」と言った自らの不明を恥じるがいい!
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恥じるか!絶対に恥じるか!
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さっきからおかしいことだらけだ。 |
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メイドの私物はあらかたのこっているが、財布はない。自らの意志でいなくなったとも考えられるな。
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じゃあメイドと執事の居なくなった原因は違うかも知れないと言うことか。 |
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早いなっ! |
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しかしいったいどういうことなんだろうな。 |
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| コースにするな! |
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