| いや、いい天気だな。 |
いや、そうだな。
| 全く雲一つ無く晴れ渡ったいい天気だ。 |
いや本当にな。
| いつもスモッグに包まれ、いつ雨が降るかわからないいつものロンドンとは大違いだ。 |
…・おかしいと思わないか。 |
| こんないい天気が、もう3時間も続いてるんだ。 |
全く君の脳天気さにはあきれるばかりだよ。 |
なんだよ。
いいかい、こういう微妙なことに気づくか気づかないかが、名探偵と凡人の差なわけだよ。 |
直感だよ。名探偵の直感だ。いつもの晴れとはフィーリングが違うんだよ。 |
| 僕の直感に誤りがあったことが今まであったかい? |
基本的に聞き流してるから知らないよ。
じゃあ、証明してやろう。今、あの可憐で清楚なホプキンス警部が僕に助けを求めにやって来るという直感がしたばかりだ。 |
それは直感じゃなくて願望じゃないのか。
| とたとたとた。 ホームズさんワトスンさん、お客様ですよ。 とたとたとた |
え、まさか本当に？
| ほら当たった！さあ僕を遺産の単独相続人とする遺言状にサインするんだ。 |
| こんにちわー！ レストレード警部でーす！ |
ほらはずれた。
なんの用だ貴様ッ!! |
ロンドンのあちこちで頭を強打されて倒れている人が続出しているんですよー。
| どうせ通り魔だろそんなもん。 |
まあ、調べろっていうなら調べてやるけどよー。 |
| で、どこなんだよ現場はよー。 |
わっ！ |
通りのあちこちで人が倒れてるじゃないか！
| 倒れたままほったらかしじゃないか。 |
軽くてもほっとくなよ。 |
幸い今日は暖かくて風もないので。
| 許せん！許せんぞ！怠慢な警察！その次に揺るせんのが暴行犯だ！ |
| いくぞ！ワトスン君！犯人を捕まえに行くんだ！ |
おうっ！
ぐわっ！ |
うう…目の前が真っ白になったと思ったら…おい、ワトスン君、レストレード警部！しっかりしろ！ |
| しかし後頭部ならともかく、前頭部を殴られ他のに全く見えないなんて、犯人はどんな奇術を使ったんだ… |
あーよく寝た。
よく寝たって、そんなに長い間気絶していたわけでもないだろ。 |
えーでも、たっぷり8時間は寝たような気分ですよー。
| 空を見ろ。太陽の位置がそれほど変わってないだろうが。 |
むっ！そうか！ |
なにが？
| たあっ！ネイムディテクティブ・シャーロック・ホームズキーック!! |
ごわんがらがっしゃーん
| 見ろ！これを！ロンドンの風景と晴れた空に見せかけたはりぼてだっ！ |
うわあっリアルにもほどがあるぞ。
| ロンドン中の倒れていた人は、ここに頭をぶつけて倒れたんだ。道理でずっと晴れているわけさ。 |
いや、できる！奴なら！ノーウッドの建築家、 ジョナス・オールデイカーなら！ |
| オールデイカーは大英帝国の出身ではない。おそらく外国から送り込まれたスパイなのだ。 |
世界に冠たる大英帝国を凋落させるのが奴らの目的…。おそらく奴らは、大英帝国の住民に眩しい太陽と暖かい気候を感じさせ、イタリア人のような陽気でパスタな国民性へと変更しようとしているのだ。 そうなったら、大英帝国を築いた陰鬱で皮肉屋でケチさが失われ、大英帝国は凋落するだろう… |
やなもので築かれたなあ大英帝国。
ともかくこうしてはいられない！行くぞ！ワトスン！レストレード！ |
ごっちーん。