ふたご1

「まあそうは言っても5月なわけですよ。」

ふたご2 「もう中旬ですよ。 」

ふたご1

「ウズベキスタンで国営テレビの総裁が解任されたそうです。」

ふたご2 「はあ、なんでまた。」

ふたご1

「欧州復興開発銀行年次総会に出席していたウズベキスタンの
カリモフ大統領が居眠りをしている姿を2、3秒放送したからだと
いうことだそうです。 」

ふたご2 「うわああ。」

ふたご1 「いやあ、まだまだ独裁者というのは探せばいるものですね。」

ふたご2

「それに比べると日本はまだまだ平和ですね。議員の居眠りを
報道しても大丈夫ですから。」

ふたご1 「そうですね。しかも国会議員の居眠りはたくさん人がいる中で
問題の直接当事者でない人ですが、カリモフ大統領の居眠りは、
欧州復興開発銀行年次総会の場で欧州復興開発銀行総裁から
ウズベキスタンの人権問題を批判されている真っ最中だった
そうなのですから。 」
ふたご2 「面の皮が厚いというかなんと言うか。」

ふたご1

「ですから当然国内でも強大な権力を持ち、
他人の言うことなど意に介さないタイプの人なのですよ。
そんな人の批判になりかねない居眠りの放送は、
どれだけ危険なことかおわかりでしょう。 」

ふたご2 「まあ総裁を解任するほどですからねえ。」

ふたご1 「しかし、だからといってそれだけが理由で総裁は
解任されたわけではありません。
実はこれまでも国営放送はさまざまな大統領批判を
地味に行ってきたのです。その集大成がいわば
今回の居眠り報道なわけです。大統領もいよいよ
その陰謀に気づいたということなのですよ。 」

ふたご2 「地味な大統領批判といいますと。」

ふたご1 「たとえば子供番組のマスコットキャラクターのぬいぐるみの
名前が大統領はバカだクンだとか。 」

ふたご2 「地味どころか思いっきり大統領批判ですよ。」

ふたご1

「そして、大統領がテレビ画面に映っている時に
臨時ニュースがあったとします。 」

ふたご2 「はい。」

ふたご1

「そうすると「国営放送ニュース速報」のテロップが
大統領の鼻の穴から出てくるようにしていたとか。 」

ふたご2 「これはぱっとしませんねえ。」

ふたご1

「その鼻から出たニュースが画面右下の生ゴミの中を通過して
また大統領の口に戻っていくのですが。 」

ふたご2 「なんだか地味な嫌がらせだなあ。報道機関ならもうすこし
まともな批判をしてもらいたいですが。 」

ふたご1 「びしっと批判をしている番組もありますよ。」

ふたご2 「おお、そうなんですか。」

ふたご1 「午後8時から国営放送で放送されている「マナーの時間」で
『カリモフ大統領ははしの持ち方がおかしい』とびしっと! 」

ふたご2 「ウズベキスタンやっ!」

ふたご1

「中国の少林寺が全世界の海賊版少林寺に
商標権侵害されて困っているそうですよ。 」

ふたご2 「少林寺といいますとあの拳法の少林寺。」

ふたご1

「ヨーロッパなどで『自称少林寺』の団体が演武をしてまわったり、
無関係の団体が少林寺を商標登録したりと
それはもうたいへんだそうです。 」

ふたご2 「ネームバリューのあるところも大変ですねえ。
あ、そういえば日本にも少林寺拳法とかがありましたね。 」

ふたご1 「日本の少林寺拳法連盟とは独自の長年にわたる
信頼関係があるので大丈夫だそうですよ。」

ふたご2

「なるほどそうですか。」

ふたご1 「つまりここが大切なところです。」

ふたご2

「何がですか。」

ふたご1 「つまり、商標権侵害とかそういうことは実はささいな問題にすぎない。
偽者の少林寺団体には欠けているものがあるのだ。」

ふたご2 「欠けて…いるもの…?」

ふたご1 「それは、少林寺本家と信頼関係を結べるような、
強い心じゃ! 」

ふたご2

「はっ!」

ふたご1 「少林寺の諸君に言っておく…
海賊版少林寺集団に勝つには、法廷闘争だけでは勝てぬ…。
心だ…
心の商標権を使うのだ…。 」

ふたご2 「心の…商標権…。」

ふたご1

「それがわかれば、戦いは必ず勝利できるであろうあろうあろう… 」

ふたご2 「で、誰なんだあんた。」

ふたご1 「平壌にいるよど号ハイジャック犯の赤軍派メンバーが発刊している
機関紙「お元気ですか」が廃刊されて、メールマガジンで
生まれ変わるそうです。 」

ふたご2

「まあそんな発刊の余裕もなくなったんでしょうかねえ。」

ふたご1 「まぐまぐに登録するんでしょうか。」

ふたご2 「テロリストなのになあ。」

ふたご1 「国内情勢に詳しくはないと思われますが、
メールマガジンの題名を「未承諾広告」とするのは
やめておいたほうがいいですよ。 」

ふたご2 「言わなくてもしませんよ。」

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