ふたご1 「君がどんなフライパンを食べているか言ってみたまえ。そうすれば君がどんな人間かあててみせよう―サヴァラン―」

ふたご2

「人がフライパンを食べていると思う人間にどうこう言われたくはないです。」

ふたご1 「メキシコでは日本のインスタントラーメンが大人気だそうです。」

ふたご2

「はあ、そうなんですか。」

ふたご1

「中でも東洋水産のマルちゃんが大人気だそうで、シェアが85パーセント。メキシコでは昨年10億食のラーメンが売れたそうなので、なんと8億食以上ものマルちゃんのラーメンが売れたことに。」

ふたご2 「それはすごいですね。」

ふたご1

「赤いきつねと緑のたぬきとセルリアンブルーのコンドルですよ。」

ふたご2

「いやそんな商品を売っているかどうかは知りませんが。」

ふたご1

「こうしたインスタント食品がメキシコに普及したのはマルちゃんが初めてだったので、『簡単に』や『すぐに』といった意味の言葉として『マルちゃん』が使われるようになったというのです。」

ふたご2 「そこまで根付きましたか。」

ふたご1

「日本でも行方をくらましたりする時の言葉、『ジゴマる』という言葉をつかったりしますからね。」

ふたご2 「…いえ、まったく知りませんが。」

ふたご1 「日本もいろいろなものを輸出しているので、世界各地でこうした言葉が生まれているかもしれませんね。」

ふたご2 「そうかもしれませんねえ。」

ふたご1 「たとえば異性をひきつけてはなさない魅力のある人のことを『ゴキブリホイホイ』とか。」

ふたご2 「げんなりもはなはだしいですね。」

ふたご1

「本当はそこの出身じゃないのに出身地を偽っている人を『ナポリタン』とか。」

ふたご2

「たしかにナポリではないけれども。」

ふたご1

「自分の意思で動いているけれども、実は巨大なマザーコンピューターに支配されていて、それでいて空を飛んで謎のエネルギー波を出して人と戦ったりするが、今までただの幼馴染と思っていたあいつとちょっとしたことから急接近したりしたかと思うとペンキ塗りたてのベンチに座ってしまう人のことを『マンガ』とか。」

ふたご2

「幅広くまとめすぎです。」

ふたご1

「古代エジプトの王、ツタンカーメンが好んで飲んでいたのは赤ワインだったそうです。」

ふたご2 「そんなことがわかるのですか。」

ふたご1

「副葬品の壺に付着していた成分を調べると、赤ワインにしかふくまれない成分があったというのです。」

ふたご2 「最近の科学は何でもわかりますねえ。」

ふたご1

「しかし最近の科学力は重要なところを見過ごしている可能性もあります。」

ふたご2

「なんですか。」

ふたご1 「副葬品の壺に赤ワインが入っていたからといって、ツタンカーメンが赤ワインを飲んでいたと決め付けていいのか。」

ふたご2 「そのあたりは考古学的なアプローチもしているんじゃないんですか。」

ふたご1

「赤ワインが元々その壺に入っているのではなくて、外部から持ち込まれた可能性も考えなくてはいけないでしょう。」

ふたご2

「でもツタンカーメンの墓は墓泥棒も入らなかったから黄金のマスクが残っていたりしたんじゃないですか。」

ふたご1

「たしかに墓泥棒は入りませんでしたが、そのほかの人間が入った可能性があります。」

ふたご2

「誰なんですか。」

ふたご1

「そうですね、時は3月ごろ。」

ふたご2 「3月?」

ふたご1 「エジプトの人々はワインを手にとって王家の谷に。」

ふたご2 「大挙してやってくるんですか。」

ふたご1

「ツタンカーメンのミイラを囲んで飲めや歌えや大騒ぎ。」

ふたご2

「ファラオの墓で宴会するな。」

ふたご1

「いわゆるミイラ見です。」

ふたご2

「なにがいわゆるか。」

ふたご1 「宴もたけなわになった頃に、一人のエジプト人が青い顔をしてふらふらと。」

ふたご2 「ふらふら?」

ふたご1

「墓の隅においてある壺に向かって思いのたけをげろげろと。」

ふたご2

「何が思いのたけか。」

ふたご1
「いわゆるファラオの呪いです。」

ふたご2

「何が呪いか。」

ふたご1
「壺をよく調べてみなさい。中につまみのミイラのかけら成分が残っているはずです。」

ふたご2 「つまみにするな!」

10月28日、薬にはなります。

 

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