ふたご1 「そのベンチはヨウ素液塗りたてだからでんぷんのあなたは座ってはいけませんよ。」

ふたご2

「なぜ塗りたてにしたのかという事情も知らせてください。」

ふたご1 「ロシアのイズベスチヤ紙の調査では、ロシア国民のほとんどが政府や公的機関に不信感を抱いているということがわかったそうです。」

ふたご2

「抱かれてますか。」

ふたご1

「プーチン大統領の仕事が誠実だと思う市民は30パーセント、最高裁判所は10パーセント、連邦検察庁が6パーセント、政府が5パーセント、上院が3パーセント、下院が2パーセントという信頼のなさ。」

ふたご2 「いやああんまりです。」

ふたご1

「イズベスチヤ紙といえば『報道』という意味の名を持つロシア最古の新聞のひとつです。旧ソ連共産党の機関紙であった『真実』という意味のプラウダ紙とともに、旧ソ連時代にはイズベスチヤにはプラウダがなく、プラウダにはイズベスチヤがないと並び称されたものです。そんなイズベスチヤ紙の調査なので信頼が置けます。」

ふたご2

「古いことを持ち出さないでくださいよ。」

ふたご1

「しかしここまで信頼されていないのに再選されるプーチン大統領というのもある意味すごいものがあります。」

ふたご2 「まあたしかにすごいですね。」

ふたご1

「プーチン大統領は柔道にも精通しているといいます。柔道には、相手の力を利用して、相手を倒すという技があります。プーチン大統領は信頼しないという国民の攻撃を利用して、逆に国民に投票させてしまう、そんなおそるべき奥儀を持っているのです。」

ふたご2 「具体的にはまったくわかりませんが。」

ふたご1 「これは我々の生活にも生かせるかもしれません。」

ふたご2 「いやそんなさっぱりわからないものを生かせといわれても。」

ふたご1 「たとえば車に乗っているとします。」

ふたご2 「はい。」

ふたご1

「すると何か後ろの車がクラクションを鳴らしています。不愉快ですね。こちらは控えめに40キロ出してもいいところを20キロしか出していないという慎み深い人間だというのに。」

ふたご2

「純然たる嫌がらせですよ。」

ふたご1

「しかしこのプーチン流の奥儀を身につけたものはあわてません。トランクの中から寝静まった像の群れを取り出します。激しいクラクションに怒った象の群れは大暴れ。たちまちクラクションを鳴らした車はぺしゃんこです。」

ふたご2

「その奥儀を身につけたものの収納術は象の群れもしまえるんですか。」

ふたご1

「そうです。普通のトランクには象の群れは入っていない。そのあまりの象の群れが入ってなさによって、『象が入っていない』という力が生まれます。その力を逆用することにより、あんなに巨大な象の群れもスッキリ収納されてしまうのです。」

ふたご2 「まったく持って意味不明ですが。」

ふたご1

「そのへんがプーチン流の恐ろしいところです。」

ふたご2 「その存在に疑問を持っていない人のほうが恐ろしいですが。」

ふたご1

「おや、私の言うことを信用してませんね。」

ふたご2

「かけらほども。」

ふたご1 「ではその信用していないという力を使って、あなたをたいへんなことにしてしまいましょう。」

ふたご2 「まあやれるものならやってみてください。」

ふたご1

「たあっ!」

ふたご2

「わあっ!」

ふたご1

「くはっ!しまった!信用していないという力を利用しようとする力を利用して私の力を逆用されてしまうのではないかと恐れる力を利用して私をどうにかしてしまうのではないかと恐れる力が発生するのではないかということを懸念するあまりに力が暴走して私自身がとんでもないことに!」

ふたご2

「だいぶ前からとんでもない人材ですよ。」

ふたご1

「産業技術総合研究所が唾液の成分を測定してストレスのたまり具合を判定する装置を開発したそうです。」

ふたご2 「そんなことではかれるんですか。」

ふたご1 「唾液中のホルモンなどの成分の上下によって判定できるのだそうです。」

ふたご2 「そんな形で出るものなんですねえ。」

ふたご1

「これはほかのものもいろんなところに出ているのかもしれませんね。」

ふたご2

「ほかのものですか。」

ふたご1

「たとえば恐怖を感じると冷や汗の中にその大きさの成分が出るとか。」

ふたご2

「なるほど。」

ふたご1 「それをはかれば恐怖の原因が稲川淳二かつまみ枝豆か桜金造かがすぐわかるわけです。」

ふたご2 「恐怖の原因は怪談タレントだけではないでしょうが。」

ふたご1

「涙の成分を調べることによってきざまれたタマネギの新鮮さもわかるというものです。」

ふたご2

「タマネギを先に調べなさい。」

ふたご1
「ため息の成分を調べるだけであの人はどうして私の思いに気づいてくれないのかしら度をもはかることもできるわけです。」

ふたご2

「それもまたほかに原因がありそうな。」

ふたご1
「川原で口から吐いた血によって、飲まされた毒と相手の狙いとその相手との間に芽生える友情の強さもはかることができるわけです。」

ふたご2 「いくら川原でも毒を飲ませた相手とは友情は芽生えません。」

11月4日、殴り合おう私から殴られましょうあなたから。

 

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