「両親にしたところでカニには違いないのでは。」

「そういうものなのですか。」

「つまり杉は黄砂が飛んでいると、花粉を出す量を控えめにするということです。」

「私の立てた仮説によると、花粉がいくら空を飛ぶといっても、黄砂のように海を越え国境を越えやってくるほどとぶわけではありません。そうした黄砂さんに杉側でも尊敬と畏敬の念を覚えているのではないかと思われます。」

「畏敬ですか。」

「黄砂の出るゴビ砂漠やタクラマカン砂漠で、砂漠麺をうってもらえば、黄砂も盛大に舞うというものです。」

「小麦粉のかわりに砂を使うのが砂漠麺ですか。」

「もしくは人工の黄砂をまくとか。」

「しかし本物の黄砂様にかなうような人工品が今の技術でできるものか。」

「そんなに難しいんですか。」

「その杉様は別の杉様のような。」

「現状では空気中に飛散する花粉をライフルで狙撃して撃墜しようとしても、花粉の胸についている黄砂の写真入のロケットに当たって、命拾いされてしまうんですよ？」

「対策がナノテクノロジーにもほどがありますよ。」

「残念ながらイワシを60匹もおくったのに不採用となったということですが。」

「やっぱりもっと高いものを送ったほうがよかったんでしょうか。」

「いえいえ平城京は内陸地ですから海の幸は貴重品です。むしろ当時の役人達が、賄賂などに目もくれない状態だったと解釈するべきではないでしょうか。」

「それはよいことですねえ。」

「むしろ賄賂よりもそれをわたす時のパフォーマンスが重要視されていたのではないかと見られています。」

「賄賂をもらう人間といっても役人です。賄賂を渡すときに芸をするぐらいの有能さがなくては、将来取り立てるときにも取立てがいがないというものです。」

「そういうものなんですかねえ。」

「奈良時代ともなれば律令制度が整備され、官僚たちも洗練されてきたころです。相当ひねった賄賂の贈り方をしなければ認めてもらえないでしょう。」

「ひねりましたか。」

「この贈りかたが誰にも真似できないとして当時話題になったのです。」

「いったいどういう贈り方でなんですか。」

「まず贈られたほうが受け取りやすい方法で贈るべきでは。」

5月27日、この冬、ハムも。

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