ふたご1 | 「梅雨が明けても明けなくても、ねずみをとる猫はよい猫だ。」 |
ふたご2 |
「だいぶ脳にもカビが生えてきたようです。」 |
ふたご1 | 「松下電器がホームベーカリーの最新型で、デニッシュ風食パンがつくれるデニッシュ食パンコース機能を搭載するそうです。」 |
ふたご2 |
「デニッシュパンですか。」 |
ふたご1 |
「外側さくさくでバターの風味がたっぷりだそうです。」 |
ふたご2 | 「いい感じですねえ。」 |
ふたご1 |
「さらにはうどん、パスタ生地の作成もできるそうです。」 |
ふたご2 |
「そんなところまで。」 |
ふたご1 |
「そしてぶどうパン用にレーズンの自動投入機構までついているのだそうです。」 |
ふたご2 | 「はあそんな機能まで。」 |
ふたご1 |
「我々が知らないうちにホームベーカリーがここまで進化しているとは。」 |
ふたご2 | 「たしかに知らない方も多いかもしれませんがねえ。」 |
ふたご1 | 「そのうち我々が知らないうちにフランスパンやそばやミーゴレンやピタやトルティーヤや生春巻きなども作ってしまえるようになるかもしれません。」 |
ふたご2 | 「技術の発展はすごいですね。」 |
ふたご1 | 「おそらく、松下電器が目指しているのは、『メニューにカツ丼のあるすし屋』なのでしょう。」 |
ふたご2 | 「いや、そういう言い方はちょっと。」 |
ふたご1 |
「これからはどんどんフォアグラのテリーヌやクスクスや満漢全席やさしみやかるかんなども作れるようになって、『子豚の丸焼きも出すすし屋』の地位を目指して欲しい。」 |
ふたご2 |
「進むべき道を考え直したほうがいいですよ。」 |
ふたご1 |
「一方で炊飯器もオムライスやフィッシュアンドチップスやルイベやめんたいこフランスやスモーガスボードやケジャンなども作れるようになり、『すしも出す子牛の丸焼き屋』の地位を目指して欲しい。」 |
ふたご2 | 「混迷の度が深まっていませんか。」 |
ふたご1 | 「『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』などで知られるイギリスの作家、スティーブンソンが、明治維新時に活躍した吉田松陰の評伝を書いていたことがわかったそうです。」
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ふたご2 | 「英国人に知られていましたか。」 |
ふたご1 |
「スティーブンソンの研究家であるよしだみどりさんが調べたところ、その評伝は1882年に発表されており、日本で初の松蔭伝記が発表されるより9年も前に書かれていたものだそうです。」 |
ふたご2 | 「それはまたすごいですねえ。」 |
ふたご1 |
「吉田松陰は松下村塾という塾を作り、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋など、維新、明治、大正と活躍した政治家達を多数生み出している人です。いわば日本の近代化の原動力といっても過言ではないでしょう。そういった人間に目をつけるというあたりが、スティーブンソンのおそるべきところです。」 |
ふたご2 |
「なるほど。」 |
ふたご1 | 「いわば日本という宝島で見つけた宝が、吉田松陰だったというわけですねえ。」 |
ふたご2 | 「まあうまいようなそうでもないような。」 |
ふたご1 |
「この時期にはスティーブンソンだけでなく、いろいろな作家が日本に注目しています。」 |
ふたご2 |
「そうなんですか。」 |
ふたご1 |
「『怪談』などで知られるラフカディオ・ハーンこと小泉八雲などが有名ですね。」 |
ふたご2 |
「そうですねえ。」 |
ふたご1 |
「いわば日本という地獄でであったのっぺらぼうが、吉田松陰だったというわけです。」 |
ふたご2 | 「いわばでもなんでもないが。」 |
ふたご1 | 「若き日の吉田松陰が全身に尊皇攘夷と書いて、ペリーの黒船に乗り込もうとしたが、耳にだけ書き忘れていたために発見されて密航が失敗したというエピソードが。」 |
ふたご2 | 「ないです。」 |
ふたご1 |
「大きな布に乗った吉田松陰が、目玉の高杉晋作や砂かけ山県有朋をひきつれて毛ばりで幕府と戦ったというエピソードが。」 |
ふたご2 |
「それはもう完全に別の話です。」 |
ふたご1 |
「そうかと思えば『サンクチュアリ』などで知られるアメリカの作家フォークナーの邸宅が復元されたそうなんですが、これがかなり忠実に復元されたそうなのです。」 |
ふたご2 |
「そうなんですか。」 |
ふたご1 | 「机の上には書きかけの原稿、はき古した靴が玄関にならんでいるなどというリアリティたっぷりのつくりだそうです。」 |
ふたご2 | 「ファンの人が行ったら嬉しいでしょうねえ。」 |
ふたご1 |
「しかしフォークナーはここに住んでいた32年間、家の増築を繰り返していたそうです。本人の意思を尊重するのであれば、やはり増築を繰り返してあげるのが本筋というものではないでしょうか。」 |
ふたご2 |
「とはいっても勝手に増築するのもどうかと思いますが。」 |
ふたご1 |
「それならばここはひとつ、彼に邸内をうろうろしてもらいましょう。そうすれば部屋の配置がかわったように見えて改装したような気分にもなるというものです。」
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ふたご2 |
「誰ですか彼って。」 |
ふたご1 |
「ぬりかべ伊藤博文ですが。」
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ふたご2 | 「吉田とも小泉とも水木とも関係ないわっ!」 |
7月15日、ダイナマイト被告。 |
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