ふたご1

「紅白歌合戦の講和条約がまとまりそうだという噂ですよ!」


ふたご2

「間違いなくデマですから安心してください。」


ふたご1
「ロンドンにグレートオーモンド街小児病院という病院がありまして。」

ふたご2

「はい。」


ふたご1

「この病院は世界的なベストセラー、『ピーターパン』の印税収入を経営の重要な柱にして運営されているのです。」


ふたご2
「へええ。」

ふたご1

「日本で言うと夏目漱石の『吾輩は猫である』の印税で運営される犬猫病院のようなものです。」


ふたご2

「まあ題材は近いかもしれませんが。」


ふたご1

「三島由紀夫の印税で運営される神社仏閣の保全機構のようなものです。 」


ふたご2
「『金閣寺』では燃やしてませんでしたか。」
ふたご1

「横溝正史の印税で運営される不動産会社のようなものです。」


ふたご2
「『病院坂の首縊りの家』とか『獄門島』や『八墓村』とかを紹介されてもねえ。」

ふたご1

「ですがまあ、来年でピーターパンの著作権は切れてしまうのです。」


ふたご2
「死後70年とかですか。」

ふたご1
「そうなると困ってしまうので、『公認の』続編を作って売り出したそうです。」

ふたご2
「なるほどそういう手がありましたか。」

ふたご1

「著作権の引き伸ばしという問題はいろいろとありますが、こうしたかたちで行われるというのも珍しい話です。」


ふたご2

「まあそうですね。」


ふたご1

「著作権制度が確立してからまだ年月が浅いですが、何百年、何千年とたつとこういったことが重要になっていくかもしれません。」


ふたご2

「どういうことでしょうか。」


ふたご1

「病院や財団などの基金の中核になりうるピーターパンのような重要な作品は、70年ごとに新たな続編を書く必要に迫られるというわけです。財団の維持のために続編を書いてくれる作家、それは歴代の作品のイメージを壊さず、かといって面白くするのは絶対で、そしてそんな能力を持ちながら著作権主張をしない作家…。そんな作家を70年ごとに探さなければならないというのはたいへんなことです。」


ふたご2
「まあなかなかいないでしょうねえ。」

ふたご1

「そういった作家を専門的にハントしていく事業なども注目されるようになるかもしれません。」


ふたご2
「そんな事業まで。」

ふたご1

「そういった続編作家は人気が高いのであの手この手の交渉で続編政策に協力させます。」


ふたご2

「ボランティア精神のかけらもなくなりましたね。」


ふたご1

「ぴったりの作家がいない場合には、腕の立つ作家を拉致して作品を書かせ、なおかつ著作権主張をさせない裏工作をするダーティーな業者も。」


ふたご2
「いやな世界になりますねえ。」

ふたご1

「そうすればそんな実態を暴くべく、業者の悪行をつぶさに描いたドキュメンタリー作品も発売されます。」


ふたご2

「まあしょうがないですね。」


ふたご1

「そしてそのドキュメンタリーの著作権を70年後にまた更新するために、新たな作家探しが行なわれていくわけです。」


ふたご2

「うっとうしい未来だなあ。」


ふたご1

「東レ合繊クラスターが開発した、大豆タンパク原料の繊維生産が事業化されるそうです。」


ふたご2
「大豆で服ですか。」

ふたご1
「この新しい繊維アミノスは、緬と同じ吸湿と放湿の性能をもちながら、重量は15パーセント軽いという利点を持っています。」

ふたご2

「なるほど。」


ふたご1

「大豆は最近ではインクなどにも使われており、21世紀という時代はますます大豆の使用が進んでいくことになるのではないでしょうか。」


ふたご2

「そうかもしれませんねえ。」


ふたご1

「これは一面ではいいことですが、問題となる面もあります。」


ふたご2

「どんなところですか。」


ふたご1
「たとえば食料用途以外の大豆需要が高まれば、それだけ食料に回される大豆が減少するわけです。そうなると食糧危機の一因になりはしないか。」

ふたご2
「なるほどそんな点もありますね。」

ふたご1

「そしてもうひとつが。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1
「節分の時に、鬼にぶつける豆が不足し、鬼が家庭内に居つくことになりはしないかという懸念です。」

ふたご2

「いらん懸念です。」


ふたご1
「そして増えた鬼達が豆腐を食べることもできなくなる世の中に。」

ふたご2
「豆腐は食えるのか。」

10月13日、まめまめまーめ。

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