ふたご1 |
「ブーメランの自給率100パーセントを目指します!」 |
ふたご2 |
「何のためにかあえて聞くこともしませんとも。」 |
ふたご1 |
「御幸毛織が水や油をはじく服地素材『ナノスペース』を開発したそうですよ。」 |
ふたご2 |
「ナノですか。」 |
ふたご1 |
「その名のとおりナノテクノロジーを使い、樹脂で繊維をコーティングしたという代物です。」 |
ふたご2 |
「それはすごいですねえ。」 |
ふたご1 |
「これでスーツを着たままカレーうどんを食べても汚れないわけです。」 |
ふたご2 |
「そうかもしれませんねえ。」 |
ふたご1 |
「一方でこれまでカレーうどん用として使われていた、黄色服地の出番がなくなってしまうわけですが。」 |
ふたご2 |
「わざわざカレーうどんのためにスーツを着替える人がいるんですか。」 |
ふたご1 |
「汚れを目立たなくするのはサラリーマンとして当然です。きつねうどん用、たぬきうどん用、讃岐うどんかまたま用、稲庭うどん用、味噌煮込みうどん用…うどんだけでも何種類のスーツが必要なことか。」 |
ふたご2 |
「味噌以外そんなに汚れないような気がしますが。」 |
ふたご1 |
「しかしこの『ナノスペース』により、それらのスーツがたった一つのスーツで代用できるわけです。便利ですね。」 |
ふたご2 |
「まあ御幸毛織側が思っていた便利さとは違うと思いますが。」 |
ふたご1 |
「しかしそれだけではありません。もっとさまざまなビジネスシーンにも使えるのです。」 |
ふたご2 |
「ビジネスシーンといいますと。」 |
ふたご1 |
「たとえばサインをもらいまして。」 |
ふたご2 |
「はい。」 |
ふたご1 |
「起死回生のホームスチールでヘッドスライディング!」 |
ふたご2 |
「スーツで野球するな!」 |
ふたご1 |
「ミユキ野球教室をご存じない?」 |
ふたご2 |
「ご存じない。」 |
ふたご1 |
「それに巨人軍の選手は紳士たることが求められているので、移動中は常にスーツであることがきまりなんですよ?」 |
ふたご2 |
「グラウンド内の移動はユニフォームがきまりなんですが。」 |
ふたご1 |
「しかし普通のサラリーマンはユニフォームなんか持ってませんしねえ。」 |
ふたご2 |
「普通のサラリーマンはヘッドスライディングを強いられることもないでしょうが。」 |
ふたご1 |
「セカンドフライ用、ファーストフライ用、インフィールドフライ用のユニフォームをそろえるのは負担も大きいですしねえ。」 |
ふたご2 |
「フライごとに着替えるな。」 |
ふたご1 | 「日本がはじめて競馬先進国として認められたそうですよ。」 |
ふたご2 |
「なんですかそれは。」 |
ふたご1 |
「国際サラブレッド競売人協会による格付けです。これまでパート2国だったのが、パート1国であると分類されるようになったのです。」 |
ふたご2 |
「ほう。」 |
ふたご1 |
「これからは日本産の馬は『優秀な馬』として特別扱いしてもらえるそうです。」 |
ふたご2 | 「具体的にいうとどういう扱いでしょうか。」 |
ふたご1 |
「国際的な馬の競り市が開かれるときなどにですね。」 |
ふたご2 |
「はい。」 |
ふたご1 |
「名簿に書かれた馬の名前が太いゴシック体で印刷されます。」 |
ふたご2 |
「…それだけですか。」 |
ふたご1 |
「いえいえこれは大変な進歩です。何しろ太ゴシック体で書いた字は目立ちますから、馬を買う人の目にもとまりやすいですから。」 |
ふたご2 |
「にしてもねえ。」 |
ふたご1 |
「今までは鉛筆で手書きでした。」 |
ふたご2 |
「まあ安っぽい感じですが。」 |
ふたご1 |
「しかも6Hの鉛筆なので、色がとても薄いです。」 |
ふたご2 |
「せめてHBで。」 |
ふたご1 |
「それでもパート3国の色鉛筆の白に比べたらぜんぜんましです。」 |
ふたご2 |
「読めないじゃないですか。」 |
ふたご1 |
「トップクラスの先進国になると、大阪から招聘した職人の手により、巨大なカニやふぐやめがねをかけた太鼓たたき男などの人形でゴージャスに飾ってもらえます。」 |
ふたご2 |
「食いだおれている場合ではないと思うが。」 |
11月24日、リュウヘイキネン。 |