ふたご1

「今年はいのしし年であることを7月ごろまで覚えておかないと大変なことに!」


ふたご2

「もう忘れかけですよ。」


ふたご1

「ルーマニアではトランシルヴァニア地方のブラン城が売りに出されているそうですよ。」


ふたご2
「城がですか。」

ふたご1

「この城は串刺し公ヴラド・ツェペシュの所有していた城で、ヴラド・ツェペシュは課のドラキュラ伯爵のモデルとなった人として有名です。」


ふたご2

「なるほど。」


ふたご1

「ドラキュラといえばよく血を吸う人として有名ですからね。」


ふたご2
「吸血鬼と言ってください。」
ふたご1

「このたびルーマニアもEUに加盟しまして、ヨーロッパ中の血を吸う人マニアが訪れるのではないかと、地元自治体での買い取り計画が進んでいるそうです。」


ふたご2

「世界的に有名ですからねえ。」


ふたご1

「しかしながらルーマニアのイオルグレスク文化相は買い取り価格が高すぎるとして不満を述べているそうです。なにしろ6000万ユーロという買い取り価格を入場料収入で補うとすると60年もかかるということなのですから。」


ふたご2

「どこの国でも同じような問題がありますねえ。」


ふたご1
「ですから自治体の買取計画を円滑に進めるためには、単に城のみの観光地化だけではなく、もっと根源的な計画を立てるべきではないでしょうか。」

ふたご2
「なんですか計画って。」

ふたご1

「まず近隣住民にほうれん草やレバーの摂取を禁止します。」


ふたご2

「鉄分不足になりますよ。」


ふたご1

「そうなると貧血になります。貧血で青白い顔をしてふらふらしている住民を見て、血色のいいドイツ人観光客はこう思うでしょう。『まあ、きっとドラキュラに血を吸われたんだわ!』」


ふたご2

「思うかっ!」


ふたご1

「あまりの鉄分不足を補おうと観光客の首にかぶりついて血を吸おうとする住民がでればしめたものです。」


ふたご2
「何がしめたものか。」

ふたご1

「そうなれば吸血鬼がいる町として、血を吸う人マニアから、血を吸われたいマニアまで幅広く観光客があつまってくることでしょう。」


ふたご2
「多分だいぶ狭い観光客ですよ。」

ふたご1

「しかしそうなると、『吸血鬼吸血鬼と言ってるけど、ほんとは鉄分不足のただの村人なんじゃねえのマニア』などもやってくることになります。」


ふたご2

「マニアというか完全に真実ですが。」


ふたご1

「そうなると村人たちにもより吸血鬼らしくあることが要求されます。」


ふたご2
「その前にレバーやほうれん草を食べさせてあげてください。」

ふたご1

「まず吸血鬼というのは流れる水の上を渡ることができません。これはもう貧血でふらふらですから、渡ろうという気力もないでしょう。」


ふたご2

「まあそうかもしれませんが。」


ふたご1

「そしてにんにくが苦手ということですが、にんにくには溶血作用があり、食べ過ぎるとひどい貧血をおこすことになります。村人たちはもちろん好んで近づかないでしょう。」


ふたご2

「まあそうなりますか。」


ふたご1

「そして鏡に映らないという特性もあります。」


ふたご2
「これは無理ですね。」
ふたご1
「いや、鏡に映りそうになった瞬間にすばやく動けば映っていないように見えます。」

ふたご2

「貧血でふらふらしている人にそれを要求しますか。」


ふたご1

「貧血でふらふらしていますから無理な要求かどうかを判断する余裕もないでしょう。」


ふたご2

「はやくレバーやほうれん草を。」


ふたご1

「フランスのNPO、パリ・イルドフランス観光地域委員会がウェブサイトでフランス人がよくやるしぐさやみぶりを写真入りで公開しているそうですよ。」


ふたご2

「はあそれはどういうことで。」


ふたご1

「つまり言葉がわからなくてもこういうしぐさが何を意味しているかわかれば、コミュニケーションをとることができるというわけですからね。」

ふたご2
「なるほど。」

ふたご1

「例を出してみると、下唇を突き出し、眉毛と肩を同時にあげると『やれやれだぜ』という感じです。」


ふたご2

「なるほど目に浮かびますね。」


ふたご1
「手を鳥のくちばしのように動かすと『黙れ』の意味となります。」

ふたご2

「なんだか感じの悪い表現ばかりですね。」


ふたご1
「これは観光客に対して無礼だという評判のフランス人の態度をたしなめるために観光地域委員会が行った、一種のキャンペーンではないかという見方もできます。」

ふたご2
「なるほど。」

ふたご1
「それを知ったフランス人は右手を上げ、頭の上にかかるように折り曲げ、右手を胸の前で折り曲げ、右足を左に足の裏が来るように折り曲げ、左足をぴんと伸ばし、高くジャンプして前歯を伸ばすしぐさをしていたといいます。」

ふたご2
「シェーですがな。」

1月12日、シェーシェータイフーン

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