ふたご1

「私の心が空ならば必ず空気中のチリにより空気中の光が散乱して青になる。」


ふたご2

「必ず昼間なんですか。」


ふたご1

「カナダの郵政公社が、ある政党のパンフレットを郵送拒否したとして問題になっているそうです。」


ふたご2
「特定の政党のものを拒否したんですか。それは問題ですねえ。」

ふたご1

「拒否された政党の名が『セックス党』。」


ふたご2

「拒否された政党側にも問題がある気がしてきました。」


ふたご1

「この党が配るパンフレットが子供に悪影響を与えるとして郵政公社では配送を拒否したそうです。」


ふたご2
「悪影響ですか。」
ふたご1

「写真や図がふんだんに入った小冊子だそうです。」


ふたご2

「写真や図が。」


ふたご1

「セックス党としてはそのような配慮がされること自体が性の解放がされていないとお怒りです。」


ふたご2
「まあそうかもしれませんが。」
ふたご1

「ここはひとつ、両方が納得するような案を考えるべきだと思います。」


ふたご2

「そうなんですかねえ。」


ふたご1

「まず党にはパンフレットを小さくしてもらいます。」


ふたご2

「小さくですか。」


ふたご1

「小さく小さくしてもらいます。」


ふたご2

「小さく小さくですか。」


ふたご1

「そうして封筒の上に置きます。」


ふたご2

「上に?」


ふたご1

「その上から切手を貼るのです。そうすれば一見してもわからない。」


ふたご2
「昔のスパイ映画じゃないんですからね。」

ふたご1

「しかし敵もさる者、そのような工夫をしたところですぐに見つけ出すかも知れません。」


ふたご2
「なんだ敵って。」

ふたご1

「しかしそれはあくまでカモフラージュ。」


ふたご2

「何がカモフラージュか。」


ふたご1

「本当のセックス党のパンフレットは、子供がまったく興味をもっていない地点から現れるのです。」


ふたご2
「どこからなんですか。」

ふたご1

「カナダ自由党やカナダ保守党といった他の政党のパンフレットの袋とじ企画にするのです。」


ふたご2

「いいのかそれは。」


ふたご1

「そうするために、カナダ自由党のシンボルはピーマン、カナダ保守党のシンボルはゴーヤ、カナダ緑の党のシンボルはゴーヤとピーマンのケチャップ炒めなんですね。」


ふたご2

「ちょっとだけ媚びるのか緑の党。」


ふたご1

「ドイツのベルリン郊外に新しい国際空港が出来るのですが。」


ふたご2
「はい。」
ふたご1
「その空港の名前をどうするかでいろいろともめているそうです。」
ふたご2

「名前ですか。」


ふたご1

「かつて西ベルリン市長も務めた、元首相でノーベル平和賞受賞者のウィリー・ブラントの名前を推す意見があるのですが。」


ふたご2

「まあふさわしい名前と言えばそうですね。」


ふたご1

「しかしブラント元首相はドイツの社会民主党出身者なので、キリスト教民主同盟はそれに反対しているというわけです。」


ふたご2

「なるほどそういうことですか。」


ふたご1

「代案としてキリスト教民主同盟が出してきたのが、アインシュタインやマレーネ・ディートリヒといったドイツ出身の超有名人の名です。」


ふたご2
「まあブラント元首相よりは知名度がありますしね。」

ふたご1

「しかしながらアインシュタインもディートリヒも、後半生はドイツに住んでいなかったのです。」


ふたご2

「ドイツ出身ではありますがドイツ国を代表する人物ではないのですね。」


ふたご1

「ですのでドイツを代表するのにもっとふさわしい人の名をつけるべきだと思います。」


ふたご2

「誰ですか。」


ふたご1

「それはもちろん、『この空港ドイツんだ』と聞かれた人ですよ。」


ふたご2
「それは『オラんだ』人だろうが。」

10月19日、オラニエンバウムだ。

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