「ハイパーメロディアンプロデューサーです。」

「コーヒーフレッシュのメロディアンは西日本でしか知られていません。」

「イギリスのヨークシャー地方では怪事件が発生しているそうです。」

「たとえば朝起きます。」

「まあ起きてください。」

「大きく背伸びをします。」

「顔を洗って朝食をとり歯も磨きます。」

「磨いてください。」

「そしてさあ出かけようかというと、家の前に突然あるものが。」

「人の顔が彫刻された大きな岩です。」

「シュールな情景ですねえ。」

「しかもそんな事件がヨークシャーのあちこちで19件もおこったというのです。」

「ミステリーですねえ。」

「ヨークシャーはストーンヘンジで知られるウィルトシャー州とわずか４、５州しか離れていないところ。この事件とかつての巨石文明の関連を見いだす説もあるとかないとか。」

「ないんですね。」

「順当に考えると芸術家が芸術運動の一環としてやっているものだと思いますが。」

「まあでもこんなことをして名を売るのはどうかと思いますがねえ。」

「なんですかあなたは。あの行為が売名運動だとでも思っているんですか。」

「それは人聞きが悪いです。あれは純粋な芸術運動なんですってば。」

「たとえば一日中アトリエにこもって絵や彫刻にばかり向き合っていては体もなまりますしストレスもたまります。」

「はあ。」

「そこで大きな岩に彫刻を彫りながら走ることによって体力増強とストレス解消になるというわけです。」

「しかし、最初から完走をめざしていてはいけません。慣れないうちは短い距離から少しずつ。」

「はあ。」

「疲れてもう走れない、彫れないとおもったら、その場からタクシーで帰るというわけです。」

「で、彫刻は。」

「どこの世界のタクシーが巨大な岩を乗せてくれるというのですか。」

「だからってねえ。」

「そのつもりだったのですが、三日坊主がつづいてついつい石を放置してしまったのです。」

「迷惑にもほどがあります。」

「こうなったら住人が続きを彫るほかありません。」

「めんどくさいなあ。」

「そうすれば住民の健康も増進し、芸術の腕も上がって言うこと無しです。」

「しかしながら、さすがに素人では彫るのに失敗することもあるでしょう。」

「まああるでしょう。」

「その時のために、途中まで彫った石を芸術家が用意しているわけです。」

「まだ三日坊主か。」

「さあ、日本の彫刻家や現代芸術家や暗黒舞踏家の皆さんもぜひ運動を！」

10月5日、一説によるとヨークシャーに潜入したタリバン残党のための罠とも言われる。

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