「渥美の異常な放浪！または私は如何にして定住するのを止めてタコ社長を愛するようになったか！」
「愛すなよ。」
「グーグルアースなどで地上の建造物が遠くからでも簡単に見られる世の中になりましたが。」
「しかしその一方でなにかと問題も起こっているそうです。」
「なんですか。」
「アメリカのサンディエゴにあるコロナド海軍基地の兵舎が、ナチスドイツの象徴ハーケンクロイツに似ているとして問題になったそうです。」
「Ｌ型の建物を連ねて作ったら、似ているとして話題になり、ユダヤ系団体からの抗議もあり、改修することになったそうです。」
「そこまでしないといけませんか。」
「まあそうしないと『アメリカ海軍はナチスの復活をもくろんでいる』とか言われかねませんからねえ。」
「これから建築関係者は注意しないといけない時代になりましたよ。」
「そうなんですかねえ。」
「たとえば作った建造物を上から見て、たまたま江戸城に似ていたりしたら『江戸幕府の復活をもくろんでいる』と思われかねません。」
「思うかなあ。」
「日本でも東京の千代田区あたりにそういう建物が。」
「それは本物の江戸城です。」
「そして上から見ると『コーリン鉛筆の復活をもくろんでいる』とされたり。」
「三角形の建物自体少なくないですか。」
「上から見ると『ピカソの復活をもくろんでいる』とか『ミュシャの復活をもくろんでいる』とか『カンディンスキーの復活をもくろんでいる』建物になったり。」
「石原プロの建物も石原裕次郎の顔に見えるようにしなくては！」
「イギリスでは下院の総選挙がせまりつつある情勢なのですが。」
「そうなんですか。」
「労働党の候補、エミリー・ベンさんは解散時期の延期をブラウン首相に直訴したそうです。」
「いえ、本人の事情です。」
「なんですか。」
「エミリー・ベンさんは10月4日に誕生日を迎えるのですが、イギリスの被選挙権は18歳以上。誕生日までは17歳なので、それまでに解散されると立候補できなくなってしまうのです。」
「またむやみやたらと若い候補者ですねえ。」
「しかしブラウン首相は高支持率の今、一刻も早く解散して労働党の議席数を伸ばしたいともくろんでいるのです。」
「まあそうかもしれませんが。」
「労働党全体のためを考えれば一刻も早く解散したい。しかしそうするとエミリーさんが立候補できなくなる。」
「悩ましいところですね。」
「まあでも所詮一議員のことなのでさっさと解散するかもしれません。」
「わあ非情。」
「そうなったらエミリーさんはタイムリープでもして解散阻止に動く他はないはず。」
「どこからともなくふっとスモッグの香りが。」
「もう少しロマンのあるにおいはしませんかイギリス。」
「何度もタイムリープするうちに、イギリスのコモン・ローの精神を学んでいくエミリーさん。」
「それは議員になる前に学んでください。」
「そうこうしているうちに、エミリーさんの中での時間が経過し、見事18歳になれるというわけです。」
9月28日、17歳、コモン・ローおぼえたて。
