「ライ麦畑で仲間由紀恵！」
「青春だからといって無理押しは危険だということですね。」
「アメリカの大統領選挙もせまりつつある日々ですが。」
「その有力候補の一人、ヒラリー・クリントン議員も資金集めとして新たな方法を編み出しました。」
「なんですか。」
「たくさん献金してくれた人のうち一名を、自宅でのランチに招待するというのです。」
「ヒラリー氏の夫は言わずと知れたクリントン元大統領です。彼がどんな顔をしてオムライスを食べるか興味のないアメリカ人は存在しないでしょう。」
「いやアメリカ人の気持ちはわかりませんが、たぶんいないんじゃないですか。」
「そしてオムライスの上に乗った小さい星条旗を取り合うクリントン夫妻。」
「小さい車をブッシュ大統領の写真の上で走らせるヒラリー氏。」
「何かの風刺っぽく見えないこともないですが。」
「でもそれはクリントン夫妻のような知名度のある人だからできる方法なんじゃないですか。」
「たしかにどこの誰とも知らないおっさんと飯を食うというだけでは献金者も集まらないかもしれません。」
「クリントン夫妻と日本の政治家の扱いが違いすぎませんか。」
「まあ日本の政治家の食事の仕方は、それほど魅力がないということですよ。」
「どういうことですか。」
「知名度がなければ、食事の仕方の魅力でランチ志望者を集めるしかないでしょう。」
「つまりランチを食べる政治家自体をエンターテインメントとして楽しめるようにするのです。」
「たとえばしゃぶしゃぶです。」
「はあ。」
「肉をお湯にしゃぶしゃぶっとすると、肉の色が変わります。」
「しかし、この政治家のしゃぶしゃぶはなんと赤から青、青から黄、最終的には光り輝くシャイニング肉に！」
「何をしゃぶしゃぶしてるんですか。」
「思わず見ている人もオムライスのスプーンを取り落とすというものです。」
「なんでいっしょにランチをしているのに、相手がしゃぶしゃぶでこっちがオムライスなんですか。」
「さらに鰻重の蒲焼きを箸でつまむと、まるで生きているかのように動き出す蒲焼き。」
「もう食べ終わったのかよ。」
「そしてフォアグラを次々と空中に飛ばし、華麗なジャンプで次々キャッチ。」
「まだ食うのか。」
「思わずこちらの腹の鳴る音でリズムをとってしまいそうになります。」
「どれだけ少なかったんだオムライス。」
「さらにトロや中トロを使ったイリュージョンに、イクラを使った歌謡ショー。」
「そしてマツタケやトリュフやキャビアにかこまれて、堂々のフィナーレ。」
「何がフィナーレか。」
「見ていた人も、『ああ、献金してよかったなあ』と空腹も忘れて思うことでしょう。」
「忘れられるのかなあ。」
「そしていよいよ第二部、『食事は政治家とともに』がスタート！」
9月7日、第二部はディナーショーとも言う。
