ふたご1

「こんばんは、西郷隆盛です。趣味は、服を着ることです。」


ふたご2

「趣味というより日常にしてください。」


ふたご1

「ドイツのベルリンで名物料理の記念館が開設されたそうです。」


ふたご2

「ドイツの名物料理というとじゃがいもとかソーセージですか。」


ふたご1

「そう、ソーセージです。しかしただのソーセージではありません。」


ふたご2

「どんな特別なソーセージなのですか。」


ふたご1

「そう、それはカレーソーセージです。」


ふたご2
「カレー味のソーセージですかあ。」
ふたご1

「いえ、ちょっと違います。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「ソーセージにケチャップとカレー粉をかけた料理です。」


ふたご2

「…料理なんですかそれは。」


ふたご1

「わかりやすく言うと、マスタードがけソーセージ博物館が単独で建つようなものです。」


ふたご2

「博物館にするほど展示するものがあるのか心配になりますが。」


ふたご1

「心配はいりません。ドイツではカリーヴルストと呼ばれ、あちこちの店で食べられる非常にポピュラーなものなのですから、それ相応の文化的厚みがあるのに違いありません。」


ふたご2

「そうなんですか。」


ふたご1

「たとえばカレー粉をケチャップをかける前にかけるか、かけた後にかけるかだけでも1フロアは埋まります。」


ふたご2

「埋まりますかそれで。」


ふたご1

「日本で言うと、目玉焼きに何をかけるかと同じくらい壮大な問題です。」


ふたご2

「日本でも目玉焼き博物館は立っていないんですが。」


ふたご1

「そして次のフロアが、カリーヴルスト界に新風を吹き込んだという、カレー粉をかけてからケチャップをかけ、またカレー粉をかけるという『ザ・板挟み』のコーナーです。」


ふたご2

「新風を吹き込んだならもう少しそれらしい名前をつけてくれませんか。」

ふたご1

「さらに逆転の発想、ケチャップとカレー粉をあらかじめ混ぜておいた『あらかじめ』のフロアでも讃嘆の声が満ちています。」


ふたご2

「説明以上のことが展示されている気がしませんが。」


ふたご1

「さらに原点に立ち戻り、カレー粉もケチャップもかけず、腸でもくるまない『ひき肉』のコーナーにはベルリンっ子もノックアウトです。」


ふたご2

「やっぱりもう展示する内容が無いじゃないか。」


ふたご1

「カーネギー・メロン大学の人間・コンピューター相互作用研究所が全く新しい入力システムを開発したそうです。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「今までの入力システムはキーボードやマウスなどですが、今度は机や服を爪でひっかく音で入力できるのです。」


ふたご2

「そんなささいな音でいいんですか。」


ふたご1

「音声入力システムなどもありますが、いちいち『コンピューター、ドアを開けろ』とか『コンピューター、メールソフトを開け』とか言うのはめんどくさいでしょう。」


ふたご2

「まあ確かに周りに人がいるとやりにくいですねえ。」


ふたご1

「そこをカッとかサッとかでできるわけですから楽なものです。」


ふたご2

「でもそういう音は日常生活でよく起きる音ですから、誤作動が起こりませんか。」


ふたご1

「その心配はありません。」


ふたご2

「そうなんですか?」


ふたご1

「これから音を出して操作する時に、『摩擦音音声入力システム作動!』と大きな声でいえばいいのですから。」


ふたご2

「完全に技術が台無しですね。」


ふたご1

「しかしこれは考えられる対策の一つに過ぎません。」


ふたご2

「まず考えないでほしかったものですが。」


ふたご1

「まずは音声分析の技術を高度化し、爪でひっかく音を正確に分析するという方式。」


ふたご2
「なるほど。」

ふたご1

「そしてもう一つの方式が、体のあらゆる部分にセンサーを張り巡らせ、今から爪でひっかくという動きを察知する方式です。」


ふたご2

「これも考えなくていい方式でしたね。」


ふたご1

「脈拍、脳波、心拍数、そういったものから人体が次にとる行動を察知する…。現代科学なら可能なはずです。」


ふたご2

「その技術を向ける方向が間違っているのですが。」


ふたご1

「さあ大きな声で言うのです『現代科学、探知モードに入れ!』。」


ふたご2
「もはや声に出して言いたいのとしか思えません。」

8月21日、現代科学ゴー!予算折衝に入れ!

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