ふたご1

「よい子のみんな!七夕では笹に願い事を書いたかな?」


ふたご2

「本当によい子は短冊に書いてくださいね。」


ふたご1

「バリ島といえば、南です。」


ふたご2

「まあ日本から見れば南ですが。」


ふたご1

「とにかくものすごく離れています。」


ふたご2

「インドネシアですからね。」


ふたご1

「そんなバリ島の遺跡から、ある日本に関するものが発見されました。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「お金です。」


ふたご2

「お金?」


ふたご1

「しかも江戸時代のお金寛永通宝がみつかったというのです。」


ふたご2

「なんでまたそれは。」


ふたご1

「ひとつに考えられますのが、当時アジアでは銅銭が国境を越えて使われていました。」


ふたご2

「へえ。」


ふたご1

「日本でも平安時代以降は中国のお金が通貨として使われていました。」


ふたご2

「永楽通宝とかありましたねえ。」


ふたご1

「寛永通宝の発行枚数は相当なもので、昭和28年までは通貨としても使えたほどです。」


ふたご2

「昭和まで使えたんですかあれ。」


ふたご1

「銅銭は輸出品にもなったので、バリ島当たりで流通していても不思議ではありません。」


ふたご2

「なるほどそういうことですか。」


ふたご1

「もうひとつの可能性としては。」


ふたご2

「なんですか。」

ふたご1

「安土桃山時代までは日本刀が有力な輸出品でした。」


ふたご2

「へえ。」


ふたご1

「東南アジアの情勢は不安定でしたので、武器として優秀であった日本刀の需要はたいへん高い物がありました。」


ふたご2

「ははあ。」


ふたご1

「となると、同様に武器となりやすいものにも注目が集まるわけです。」


ふたご2

「なりやすいものといいますと。」


ふたご1

「男だったら一つにかけます。」


ふたご2

「は。」


ふたご1

「江戸時代のヒーロー、銭形平次の投げ銭です。」


ふたご2

「いやあの。」


ふたご1

「あんな小さな銭なのに、悪党どもは一撃で倒れるのです。」


ふたご2

「それドラマですから。」


ふたご1

「戦国時代の兵科としても投石は有効な攻撃手段でした。」


ふたご2

「まあそれはそうですけど。」


ふたご1

「ましてや石以上の価値を持つ寛永通宝を投げれば、ダメージはさらに大きくなるでしょう。」


ふたご2

「主に投げる側の懐的な意味でしょうが。」


ふたご1

「もしくはあの寛永通宝は、日本から岡っ引きが海を渡り、東南アジアの各地で岡っ引きとして自生していたと証拠なのかもしれません。」


ふたご2

「自生って。」


ふたご1

「しかし南方でそんな岡っ引きを見ることはありません。きっと獰猛な岡っ引きに駆逐され、今では絶滅してしまったのでしょう。」


ふたご2
「いたのか在来の岡っ引き。」

ふたご1

「そして日本でも、岡っ引きを見ることは少なくなりました。」


ふたご2

「まあ無いですけど。」


ふたご1

「おそらく、日本の在来種は絶滅してしまったのでしょう。」


ふたご2

「絶滅というか何というか。」


ふたご1

「けれども、街や森のかたすみの江戸に、今でもニホンオカッピキガ生きているのかもしれません。そう、銭を投げて…」


ふたご2
「なにがそうか。」

7月8日、めあかし。

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