開催期間 2003.7.9-7.15(昼の部) 7.16-7.19(夜の部)
第28回嘘競演。テーマは「12時
かくたかひろ議長 腹藝春秋



惨劇の街

江戸中期、若い街娘達が白昼、鮮血に染まった姿で
発見されるということが多発した。
犠牲者がみな三井越後屋が開発したちょっと磯臭い布地、
呪ウニ地で仕立てた着物を着ていたことを不審に思った平次は…



なぜ?

「すべて搬入しました。後は日付が変わるのを待つだけです。」
「うむ、今日こそ、私の仮説が実証される時だな。」
「あと、10秒で日付が変わります。」
「6…5…4…3…2…1…!」

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

「どうだっ!どのように変化したっ!?」
「だめですっ!どれもこれも「ごはんですよでした」ですっ!」
「なぜだ…なぜ「ごはんですよ」は「ごはんでした」にならないのだっ!?」

賞味期限の切れかけた「ごはんですよ」をスーパーで見かけないのは
大体こういったわけである。


時の流れに身をまかせ

「シンデレラや、よくお聞き、12時になるまでに帰らないといけないよ。
12時に近づくにつれて徐々に魔法が解けていくんだよ。」


と、魔法使いのおばあさんは「午後六時六分」に言いました。

そう聞いたシンデレラは踊りもそこそこに、城を出ることにしました。
あんまりあわてていたのでガラスの靴を落とすのも忘れてしまいました。
シンデレラがかぼちゃの馬車に乗ろうと馬車乗り場に向かうと、
かぼちゃの馬車の魔法は解けて、かぼちゃの電車になっていました。
がっくりして切符を買うと、「午後六時三十五分」と書かれていました。

※画像はイメージです。

「当電車はぁ、中シュワルツコフ線ペトログラード発、新プガチョフ行き、
『午後七時ちょうど』に出発いたしい、ます。」
ねずみの御者の魔法も解けて、中川家礼二になっていました。
「わんっ、わんわんわん」「こらっ、ぺス!」「ぅわふ。」

七時発新プガチョフ行きは終電です。
何しろ昔のことなので電車の本数が少ないのでした。
酔っ払った客達がたくさんいます。
「げげげふげふー。」
「課長のバカヤロー!」
「『午後七時三十八分』のバカヤロー!」
車内のところどころには自由を求めて安住の地から飛び出したものたちが
湯気を立てています。


※画像はイメージです。

その時男の手がシンデレラの臀部をまさぐりました
「はっ!チカン!」
よく見るとそれは魔法のとけた王子様でした。
とりあえず拘束具で王子様の親指を固定しました。
「この拘束具も魔法がかかっている時は素敵なブレスレットだったのに。」
そう思うと王子様の親指を強く締め付けずにはおられないのでした。
「いてててて、これじゃまるで『午後八時ちょうど』だよう!」
「黙っとけハゲ。」
王子様の親指はますます紫色になっていきました。

東武鉄道のガード下を交差し、綾瀬駅を目前にしたころでした。
「あれっ?あんなところに何かあるぞ?」
「あっ、本当だ!」
「今は『午後八時四十五分』じゃないか!」
なんとそれは下山貞則国鉄総裁の死体でした。
国鉄の大規模な人員整理の問題で、世情を騒がしていた
下山総裁が、なんとこともあろうにレールの上に轢死体となって
発見されたのです。

※画像はイメージです。
この事件は「下山事件」とよばれ、「松川事件」、「三鷹事件」とともに
戦後史上の重大事件となりました。
事件の真相は闇から闇へ。結局戦後の暗黒の闇の中に
消えていきました。しかし実は下山総裁こそが、魔法のとけた
魔法使いのおばあさんだったのです。
「どうやって魔法をかけたのだろう。」
そんな疑問も戦後の闇の中に消えていきました。

『午後九時四十分』、電車はオリガーキー南方に到着しました。
シンデレラの住む家のそばです。
鉄道警察にチカン犯人の王子様を引き渡そうとしたシンデレラははっとしました。
なんと鉄道警察刑事は、これまでシンデレラをいじめていたまま母と二人のまま姉
だったのです。
「なぜお義母さまとお義姉さまが鉄道警察官なの!?」
「今までだましていてすまなかったシンデレラ、実は私たちは三人で一人、
一人で三人のさすらい刑事旅情編なのだったのだよ。それもこれもみんな
魔法がとけたからなのだよ。 」
シンデレラとお義母さまお義姉さま刑事は敬礼を交わしました。
それは、今までの生活では一度もしたことがない、心からの敬礼でした。
お義母さまお義姉さま刑事が王子様を連行していく姿を、シンデレラは
いつまでも見送っていました。


『午後十時四十五分薬局』の前を通りかかったとたんに、シンデレラの頭の上で
ぽん、と音がしました。
なんとプラチナのティアラが「幸福駅行きの切符」になってしまったのです。
魔法がとけてしまったのです。
「まさか、このドレスの魔法もとけてしまうのかしら。」
そうなったら夜の商店街で一銭にもならないヌードをさらさねばなりません。
そんなのはごめんです。
シンデレラの足は思わず足早になるのでした。

ぽん。
今度はネックレスの魔法がとけて、 おにぎりとたくあんになってしまいました。
日本最初の駅弁はおにぎり2個とたくあん2枚です。
「せっかくの『午後十一時二十五分金のネックレス』がー。」
もう何をいってよいやらわかりません。
「このままでは十二時になる前に額縁ショーになってしまうわ!」
古いことを言い出すシンデレラの焦燥はいよいよ深くなっていくのでした。

 

ばらばらばら。
なんとドレスの魔法がとけて、時刻表になってしまいました。

「いやーん。」
「午後十一時三十五分発」の列車を探そうとしましたが見つかりません。
「いやーん。」
ああシンデレラは、午後十二時になったらどうなってしまうのでしょうか。

そうしてシンデレラは王子様は末永く幸せに暮らしました。
そうです、幸せになるのには、魔法なんかいらないのです。
魔法なんかなくても自分の手で幸せをつかむ、それこそが
本当の「ガラスの靴」、なのです。
少々無理のあるところや、 暮らす相手が最低のチカン野郎
だったりするような要素をなんとかするのは時刻表トリックと
いうものなのでした。
それからずっと、時計は「午後十二時」のままなのでした。

 

 


 帰らざる川
関ヶ原の戦いから二年、備前美作五十五万石に封ぜられた 金吾中納言小早川秀秋は鬱々として楽しめない日々を送っていた。 と、いうのも関ヶ原の戦いで東軍勝利のきっかけを作ったにもか かわらず、裏切り者として陰口をたたかれ、その傷口を癒すには 備前美作五十五万石はあまりにも小さすぎるのだった。 そんな秀秋がうまい話に飛びつくのも無理は無い話である。 秀秋  「ええいっ!まだわからんのかっ!」 小姓  「そう申されましても…何しろ我等も初めてでございま して…」 秀秋  「わかっておるのかっ!十二時までに何とかしなければ ならないのだぞっ!」 小姓  「殿、その十二時が一体いつごろかわからぬゆえ、困っ ておるのではないですか。 」 秀秋  「うぬうっ!」 秀秋はずっとそのことばかり考えていた。もしあの時、西軍を裏 切らなければ、 西軍は勝利し、自分は裏切り者としては後ろ指を さされたりはしなかったのではないか。 三成は、秀頼が成人するまでの間、自分を関白にすると言った。 関白になれば天下人である。 今の五十五万石とは比べ物にもなら ない。 あの時、あの場所に帰れたら―――秀秋はずっとそのことばかり 考えていたのである。 そんな時に、彼の前に現れた男がいた。 タイムトラベラー、である。 秀秋  「あのタイムトラベラーが指定した時間は 本日の午後十二時ちょうど!本日、午後十二時ちょう      どに三之外曲輪の大松の下に行けば、あの、関ヶ原の      直前に、わしを戻してくれるというのだ!」 小姓  「ですが、その午後十二時というのがいったい、我々の      何時ごろにあたるのかさっぱりわからないのですよ。」 秀秋  「それがわかるようにタイムトラベラーは時計を各種置      いていってくれたのではないか!」 小姓  「ですから、その時計の見方がわからないのでございま      すよっ!」 当時、西洋から伝わった時計は、あった。秀秋も、それを見たこ とはある。 大阪城で秀吉が自慢げに見せてくれたのだ。舶来物好きの家康や 政宗が興味を持っていろいろと時間について聞いていたが、秀秋 は聞いていない。 眠かった、のである。 若い彼の肉体は睡眠を求めていた。居眠りをしようとて誰が責め られようか。 しかし、彼は秀吉にこっぴどく叱責された。むろん、チクったの は三成である。 小姓  「もう、ずっとあの松の前で待っておればよろしいので      はないですか。」 秀秋  「ならん。そんなことをすれば平岡に見つかってしまう      ではないか。そして、もしわしがタイムトラベラーと      会うなぞと平岡に言って見ろ。どれだけ冷ややかな目      で見られるか。 」 小姓  「それは平岡様に限った話ではないと思いますが。」 秀秋  「大体あいつが余計なことをしなければ、こんな苦労を      せずにすんだのだ。あいつがいつもわしの足を引っ張      っておるのだ。」 平岡石見守頼勝、彼は秀吉の命によって秀秋の附家老となった男 である。 大変有能で年少の秀秋に代わり、家政を切り盛りしてきた。 家康 に近づき小早川家を東軍に寝返らせる算段までした。それもこれ も秀秋の身を思ってのことである。 もちろん、自らのためでない、とも言い切れない。 後のことではあるが、彼は大名に取り立てられている。家康との 個人的関係を評価されてのことである。三成への私怨も無論ある。 慶長の役の際、船で少々吐いたばかりに ゲロ、よばわりである。 しかし基本的には頼勝はいつも 秀秋と、小早川家のことを考えて行動してきた。 だが、それが秀秋に通じるかどうかは別問題である。 小姓  「それにしてもタイムトラベラーに午後十二時がいつ頃      かということぐらいお聞きにならなかったのですか?」 秀秋  「それがのう、タイムトラベラーはずいぶんと忙しいら      しく、会見の時間も制限されておってのう…。何しろ      今日はわしのほかにも五,六組は別の時間に連れて行      くと言っておったな。 」 小姓  「そんなことをして、タイムパラドックスがおきたらど      うするんですかね。」 秀秋  「たわけっ!タイムパラドックスなどと、この時代に無      い言葉を申すなっ!」 小姓  「ははっ!」 秀秋と小姓の前には五つの時計があった。先ほどからそれをにら んでは、疲れ目に目を押さえている。 眼精疲労、である。 目を連続して使うと、眼球を動かす筋肉が疲労し、目がかすんだ り、偏頭痛がする。 遠くを眺めたり、ブルーベリーを食べたりすればよいという。 だが、この時代の備前美作にブルーベリーは、無い。 地獄、である。 小姓  「はっ!そういえばっ!加治川頼母殿が、堺で南蛮式の      時計を学んでらしたと聞きましたぞ! 」 秀秋  「おおっ!そうかっ!なら早く頼母を呼べっ!」 小姓   「ははっ!」 加治川頼母は幼いころより算術に長けた侍であった。父の九郎は 武勇で知られた侍であったが、頼母は親にも似ずに算盤をはじい てばかりであった。その算盤を買ったのが、小早川家の先代、 小早川隆景、である。 隆景は釣りが趣味であった。釣る事が目的ではない。川面に糸を 垂れて、終日浮きを眺めるのだ。夏の日に釣りに行って倒れたこ となどもあった。 日射病、である。 秀秋  「ええいっ、あの役立たずっ!まったく時間を読むこと      ができないではないかっ!腹を切らせい腹を!」 小姓  「そうは申しましても、デジタルと、アナログでは見方      が違うとのことですのでこればかりは… 」 秀秋  「もうよいっ!こうなったら最後の手段じゃっ!」 小姓  「は。」 秀秋  「今から三之外曲輪の大松の前で、タイムトラベラーを      待つ!」 小姓  「しかしそれでは平岡様に…」 秀秋  「平岡の一党は一時、城の大広間に監禁せよっ!」 小姓  「そ、そのようなことをされては、後でどのようなこと      になるか…」 秀秋  「かまわぬっ!時間はもどるのじゃっ!後のことなど、      無いのだっ!」 平岡派の重臣達は全員登城を命ぜられ、大広間に監禁された。 広間の入り口には大振りの槍を構えた番士がつけられた。 備前の国は昔より刀工が集まる地であった。名刀備前長船もその 一つである。むろん槍もそれなりの刀工が拵えたものである。 穂先だけでなく、柄一つをとってもまさに至高の名品、工芸の極 みと言ってもよい。だが、問題が一つある。 カバー、である。 秀秋  「でいやああああああああっ!!」 小姓  「どいやああああああああっ!!」 なるほど槍はすばらしい。だが、槍の穂先を覆うカバーは、各家 によって違っていた。刀工たちはカバーをつくらなかったからで ある。だから槍の持ち主達は各々カバーを調達せざるをえなかっ た。 ”伊達者”の名を持つ仙台伊達家などはカバーにも贅を尽くした。 黒漆に金銀箔をふんだんに使ったその輝きは伊達家の威を天下に 知らしめるのにこれ以上は無い威容であった。 秀秋  「あぐああああああああっ!!」 小姓  「べのああああああああっ!!」 だが、伊達家のように数百年来の家臣団を持たず、新規召抱えの 家臣が大半を占める小早川家は、そのようなカバーの統制が取れ なかった。 平岡石見家が朱塗りに銀箔押しの九曜紋かと思えば、内藤典薬家 のカバーなどは桃色地に苺模様である。 村越主膳家などにいたっては、 うさぎちゃん、である。 小早川家が他家から影口をたたかれるのは裏切りのせい、だけで ないとも識者は指摘する。 秀秋  「はあ、はあ、はあ…まったくしぶとい奴だ平岡め。」 小姓  「さすがは平岡様、二十数人の番士相手にも一歩もひけ      を取られませんでしたな。ほら、ここにもあざが。」 秀秋  「ふん、まあそれもわしの小早川・デンジャラス・アタ      ックの前には敵ではなかったがな。」 小姓  「後ろから殴っただけじゃないですか。」 秀秋  「うるさい。しかしすっかり遅くなってしまったな。      タイムトラベラーの言う午後十二時が過ぎておらねば      よいのだが。 」 小姓  「あっ!と、殿、ご覧くださりませ!!」 そこに立っていたのがタイムトラベラーの大杉兵庫、である。 大杉家は代々高野山支配の荘園大杉荘の名主として続いてきた。 その後、独立して武士となり、筒井氏、豊臣氏と仕え、最終的に は大和柳沢家の家臣となった。明治維新にいたって大杉家はサラ リーマンになった。代々サラリーマンを勤めたが、兵庫は親のす すめもあってタイムトラベラーになった。 タイムトラベラーも悪くない、兵庫はそう思っていた。 秀秋  「おおっ、間に合ったかっ!」 兵庫  「では、約束の時間に連れて行ってあげましょう。」 秀秋  「そうかそうか。すまぬの。これ、小姓、お前も行くか?」 小姓  「いえ、私は…いいです。      人生はやり直しがきかない…、それが人生の      すばらしさだと思ってますから… 」 秀秋  「過去に戻ったらお前の一族を根絶やしにしてやるから      な。」 小姓  「それはちょっと。」 兵庫  「はーいそれではいってらっしゃーい。」 みょみょみょみょうみょうみょうみょみょうっ、と大きな渦に巻 き込まれて秀秋の姿は消えていった。月明かりに照らされた大松 は変わらずそこにそびえていたし、小姓と兵庫はそこにいる。 だが、秀秋の姿だけが無い。 まったく奇妙な夢を見ているような、そんな心持ちの小姓をはっ と我に還らせたのは兵庫の声だった。 兵庫  「えーと、次の予定は午後十二時に、小早川秀秋さんを      一六〇〇年にもどす…と…。」 小姓  「え?」 月日は百代の過客にして行きかう年もまた旅人也、といったのは 松尾芭蕉、である。なるほど月日は行ったきり還ってこない。 帰ってこないからまた懐かしむ人も多いのである。 秀秋はまだ若い。 ヤング・フォーエバー・秀秋、である。 秀秋  「やれやれ、せっかく過去に戻ってきたはいいが      一体ここはどこなのだ。 」     「きゃ〜〜〜っ!」 どすん。と音がして秀秋にぶつかってきたものがいた。 後白河法皇、である。源頼朝に日本一の大天狗と呼ばれたその男 と、今、秀秋はもつれ合って石段を転げ落ちている。 その姿はまさに、相州相模屋の 羽二重饅頭、である。 法皇  「おうっ!一体どこにめをつけておるのじゃっ!」 秀秋  「ご、ごめんなさーいっ!」 法皇  「あれ?」 秀秋  「あれ?」 京の秋の空はあくまで冷たく青い。比叡の山おろしがすべてを掃 き清めていくから、かもしれない。 その京の空気の中で、法皇の姿をした秀秋と、秀秋の姿をした法 皇は、ただ、呆然として互いを見つめるばかりだったので、ある。 おわり、である。


驚異の1大連載!


「アフタヌーン!正午!!」海老沢かじお


あらすじ
平凡な高校生である御昼林 正午は、実は午前12時の化身である。
しかし、そんな正午の午前12時の座をめぐってさまざまな正しくない達が
おそいかかる。
「俺こそが正しい午、正午だ!」
正しい午前12時を守るために、正午はさまざまな正しくない午たちと
戦うのだった。

【主な登場人物】

【御昼林 正午】(午前12時の化身)
午前12時の化身であるが、ふだんは
おっちょこちょいの高校生。
しかし、正しくない午は許さない、
午の正しい好青年だ。

必殺技…サンクロック・ショーティストシャドウ
圧倒的に正しい正午の力で、誤った午を打ち倒す技。
身も心も正しい午でなくては使いこなせず、正午ですらも
時々使いこなせないほど厳密な技だ!


【真夜中橋 裏午】
(午後12時の化身)
闇の12時の力を持つ男。正午を倒し、
午前と午後の12時を統一すると言う野望達成のため、
正午のクラスに転校してきた。
しかし、真夜中しか活動できないために学校に来たことが
ない。

必殺技… 日付変更ボイジャー・ワン
木星探査衛星ボイジャー1号を地表に激突させることにより、
地球の自転速度を早め、日付を変更させるという恐るべき技!
何回やっても一号だというあたりが真に恐ろしいところだ!


【貴女森 甘午】
(午後3時の化身)
午後3時だけでなく、すべての時間でおやつを
食べられるようにしようと計画し、まず正午に戦いを
挑むが敗れ、正午に思いをよせるようになる。
女の子だが、こんな名前をつけた両親と苗字を
つけた先祖を恨んでいる。

必殺技…ラクトバチルス・カゼイ・シロタ・ドロップ
代田稔博士によって開発されたラクトバチルス・カゼイ・
シロタ株(ヤクルト菌)の能力を最大限に引き出し、
周囲にいる人間の体長をすべてよくしてしまうという
超絶秘技。もちろん敵の体調もよくなるのでこれといって
戦いに役に立たない。大食いチャンピオンの白田信幸さんも
大いに食がすすむ!


【昼前坂 近午】
(午前11時の化身)
「午前12時に最も近い男」といわれる。
正午を常にマークし、その隙をうかがっている。
もちろん住所は正午の家の隣。

必殺技…当惑光線ティトゥス・リウィウス
「午前11時のあいさつって、おはよう?それとも
こんにちは?」という人間の深層心理に潜む矛盾を
つき、相手の自我を崩壊させかねない光線。
そんな様子をローマ建国史の著者、ティトゥス・
リウィウスはあたたかく見守っていた…!


【暗黒院 闇午】
(午後5時25分34秒ごろの化身)
闇の正午の力を得ようと暗躍する。しかし、
時間的に中途半端なため闇に徹しきれず、
出家。和歌に通じ、「暗黒集」などの歌集も
著す。

必殺技…暗黒深淵なんとか
暗黒の力を利用し、火星の何かそのあたりの何かを
どうこうするとか言うようなそんなような技。
あまりの中途半端さに元広島東洋カープ監督
達川光男さんも心配そうだ!


【牛】
(牛)
まったく正しくない午としていつも正午に倒される。
もちろんその後はみんなで焼肉パーティーだ!


【于禁】
(三国時代の武将)
よく干禁と間違われる。ましてや午禁なんてもっての
ほかだ!怒りに燃える正午の前には敵ではなかった!

第二部に突入し、いよいよヒートアップしてきた
「アフタヌーン!正午!!」
来週からもみんな、ゲット・トゥエルブオクロック!

※読者のみなさまへ
この連載は講談社月刊アフタヌーンとは一切関係ありません。
この雑誌は週刊少年ジャンプです。


刑事-K

刑事A「くそう、どこに爆弾が仕掛けられているんだっ!」
刑事B「爆破予告の12時まであと5分…どうやって探せばいいんだっ!」
刑事A「こうなったら、Qさん!Qさんの腕にかけるしかない!」
刑事B「Qさんって、そんなにすごいんですか?」
刑事A「ああ…B、お前はまだ入ったばかりで知らなかったな、
    Qさんは爆弾捜索と爆発物処理にかけては本職の爆破処理班も
    及ばない…。どんな爆弾でも12時前には必ずけりをつけるんだ。」
刑事Q「おいおい、俺をそう買いかぶってもらっちゃ困るぜ。
    今度ばかりは俺でも難しいかもしれない。」
刑事A「Qさん!頼みます!ここが爆破されたら、日本は終りです!」
刑事Q「ふっ、知らねえぞ、どうなっても。おい、若いの。」
刑事B「は、はい!」
刑事Q「俺のやり方をよく見とけ。ついてこい!」
刑事B「は、はい!」
刑事Q「まず爆弾が仕掛けられるところに当たりをつけるんだ!」
刑事B「はい、どこですか!」
刑事Q「たとえばガス管などが通っているところ、ガラス窓のそば、
    大きな被害があたえられそうなところをまんべんなく
    チェックするんだ!」
刑事B「は、はい!」
刑事Q「これくらいの大きさのビルなら、1時間もあれば爆弾を
    発見できるだろう!」
刑事B「一時間!?そ、そんな、時間がないんですよ!」
刑事Q「はい、というわけでこちらに一時間ほど前、前もって
    見つけておきました爆弾がございます。」
刑事B「え。」
刑事Q「次は解体の仕方だ!よく見とけ!」
刑事B「は、はい!」
刑事Q「いいか、この形式のタイマー形の時限爆弾は、うかつなコードを
    切ると爆発する。だから、回線のパターンなどをよく計算して
    慎重にコードを切るんだ!」
刑事B「慎重に、ですか。」
刑事Q「そうだ、30分ぐらいかけて慎重に、だ!」
刑事B「そんな!時間が…」
刑事Q「はい、というわけでこちらに前もってコードを切って
    おきました爆弾がございます。」
刑事B「え。」
刑事Q「仕上げにパセリをそえて一軒落着だ!」
刑事B「はあ…」
刑事A「いや、さすがはQさん、「三分間のQっぴ」と言われただけの
    ことはありますね。」
刑事Q「おいおい、ほめすぎだぜ。みんなもぜひご家庭でお試し
    いただきたいものだな!」
刑事B「はあ…」
刑事Q「おいおい、そんなしけた顔すんなよ。じゃ、事件も解決したことだし
    飲みに行くか!」
刑事B「え、いいっすねえ。」
刑事A「お前のおごりで、な!」
刑事B「そんなあ!」

(エンドテーマ・おもちゃの兵隊のマーチ)


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