双葉博士 |
いやいや今日は私のために集まっていただいてありがとうございます。 |
望月委員 |
いえあの、双葉博士のために集まってわけではないのですが。 |
双葉博士 |
何言ってるんですか世界治安用怪人国際会議で世界公開される怪人、いわば日本代表の怪人ですよ。その作成者に選ばれた私、いわば日本の怪人の第一人者といっても過言ではないでしょう。 |
望月委員 |
いえ、たしかにデモンストレーション参加用の怪人の製作者として双葉博士が選出されたのは確かですが、デモンストレーションに参加される博士の方は12名ですし、本当に第一人者というような方は本会議のほうに出席されますし。
|
高橋委員 |
増長ぶりがはなはだしいですね。 |
双葉博士 |
で、そんな私のために集まったわけはなんでしょうか。 |
望月委員 |
ですから、そのデモンストレーション用の怪人の打ち合わせです。 過去に優秀な成績を上げられた怪人の改良というか詰めをですね… |
双葉博士 |
いえっ、だめです。 |
望月委員 |
だめ? |
双葉博士 |
私ですよ。日本代表の私ですよ。全世界が注目する私ですよ。その私の出した怪人が過去のものと同じだったら、世界に新鮮なインパクトを与えられないじゃないですか。 |
|
こりゃ増長ぶりというレベルじゃないねえ(笑)。 |
双葉博士 |
そんなわけで新しい怪人の資料を持ってきました。さあ見てください見てください。 |
望月委員 |
では一応拝見しておきます。 |
双葉博士 |
やはり国際会議の会場のバンクーバーの人にアピールすることを考えまして… |
高橋委員 |
いえ、会場はレイキャビクです。 |
双葉博士 |
…レイキャビク?どこですか? |
望月委員 |
アイスランドです。 |
双葉博士 |
あのイギリスのとなりの。 |
望月委員 |
それはアイルランドです。 |
双葉博士 |
あーしまった…アイスランドか…。じゃあこの怪人はだめだなあ…。 |
望月委員 |
何かカナダにちなんだ怪人だったんですか。 |
双葉博士 |
いやあの天使をモチーフにした怪人なんですけど。 |
獅子ヶ島委員 |
別にカナダと関係ないじゃないか(笑) |
双葉博士 |
だってカナダって天国に一番近い島って言われてるじゃないですか。 |
獅子ヶ島委員 |
そりゃニューカレドニアだ(笑)。 |
高橋委員 |
そもそもカナダは島じゃないです。 |
双葉博士 |
ええっ!? |
高橋委員 |
…大丈夫なんですかこの人、日本国外に出して。 |
レムミ助手 |
大丈夫でっす。しゃべらなきゃばれませんっす。 |
望月委員 |
…まあデモンストレーション用の怪人のサポートとしてついていただくだけですから…。とりあえず怪人のことですが…これ、天使なんですか? |
双葉博士 |
天使ですよ。頭に輪っかがついてるじゃないですか。 |
望月委員 |
ついてますけど…。頭にめり込んでませんか。 |
双葉博士 |
はい。 |
望月委員 |
天使の輪って、頭に浮いてるものじゃないんですか。 |
双葉博士 |
いやですねえ、体の一部が体から離れて浮くわけないじゃないですか。科学的に見てありえませんよう。 |
獅子ヶ島委員 |
そもそも天使が科学的な存在ではないんだけどね(笑)。 |
双葉博士 |
ええっ!? |
高橋委員 |
…やっぱり選考をやり直しませんか。 |
望月委員 |
いえ、まあ時間もないことですし、過去の怪人の改造で手を打つということで。 |
双葉博士 |
いえ、あのまだ一ヶ月ほどあるのでそれまでにもう一つ作ってきますから。 |
高橋委員 |
あんまり出来が悪いようでしたら、別の博士の怪人をもう一体出してもらうことになりますよ。 たとえば木村博士とか… |
双葉博士 |
木村っ!? |
高橋委員 |
ど、どうしたんですか。 |
双葉博士 |
わかりましたっ!絶対確実明瞭にいい物を作ってきますっ!じゃっ! |
望月委員 |
いやあ驚きました。あんな双葉博士を見たのは初めてですよ。 |
獅子ヶ島委員 |
何か因縁でもあったのかね、木村博士と(笑) |
レムミ助手 |
因縁かどうかはわかりませんが、木村博士に不幸の手紙を送ったことは事実っす。 |
高橋委員 |
科学のかけらもないいがみあいですね。 |