双葉博士 |
どうもどうも皆様お久しぶりです。 |
獅子ヶ島委員 |
いやいやひさしぶりだね(笑)。 |
高橋委員 |
そうですか? |
双葉博士 |
私この休みを利用して故郷の山梨に帰ってたんです。 これお土産のぶどうです。 |
レムミ助手 |
いわゆるつけとどけでっす |
望月委員 |
困りますね。そういったものをいただくと我々は収賄に問われてしまいます。 |
双葉博士 |
いいじゃないですか、かたいこと言いっこなしで。 |
高橋委員 |
私達公務員ですよ。 |
レムミ助手 |
いわばかたさの権化。 |
|
えらい言われようだな(笑)。 |
レムミ助手 |
いわゆるダイヤモンドの生まれ変わり。そしてダイヤモンドは永遠の輝き。つまり公務員とは永遠のあとに生まれ来る存在。終わりの始まり。始まりの終わり。国家。そして地方。それらをつなぐ運命の輪。それが公務員。 |
高橋委員 |
ちょっとこの子、本格的にわけがわからなくなってませんか。 |
双葉博士 |
今年の夏は暑かったですからね。 |
獅子ヶ島委員 |
いや、それですまされてもねえ…。 |
双葉博士 |
この暑さでちょっとポエム回路が暴走してるんでしょう。 それよりどうですか、ぶどう。 |
望月委員 |
ですからいただけません。 |
獅子ヶ島委員 |
最近はうるさいからねえ。 こんなものもらったらたちまち週刊誌ネタだ。 見出しも目に見えるようだ(笑)。 |
高橋委員 |
「治安用怪人審査会に渦巻く収賄劇。巨悪と巨峰うずまく食えない審査会」。 |
双葉博士 |
「美人博士」はつかないんですか。 |
高橋委員 |
殺されてからにしてください。 |
双葉博士 |
…えー。 それでは、今回の怪人なんですが、こちらの資料を御覧ください。 |
望月委員 |
あの、ちょっと。 |
双葉博士 |
なんですか。 |
望月委員 |
机の上のぶどう、どけてもらえますか。 資料を広げるのに邪魔なので。 |
双葉博士 |
いいじゃないですか。 もって帰るまで置いておいてくださいよ。 |
高橋委員 |
だいたい多すぎますよ、ぶどう。何房あるんですか。 |
双葉博士 |
200はくだらないって聞きましたけど。 そんなぶどうをいちいち片付けていたら時間が足りなくなってしまうじゃないですか。 |
望月委員 |
結局帰る時には片付けないといけないんですから同じことでしょう。 |
双葉博士 |
30分ぐらい待って下さいよ。 |
望月委員 |
30分立つと何か変わるんですか? |
双葉博士 |
30分たったら、ぶどう運び専用ロボット「デラウェア」が帰ってくるんです。 |
望月委員 |
はあ、じゃあそのロボットは今どこに? |
双葉博士 |
今はちょっと… |
レムミ助手 |
今ぶどう運び専用ロボット「デラウェア」はバイトに行っている事になっていることを隠そうとされているっす。 |
双葉博士 |
レムミっ! |
高橋委員 |
バイトですか。 治安用怪人開発者委員会所属の博士が作った改造人間やロボットの事業使用には事前の申請が必要なはずですが。 |
双葉博士 |
してますよ。してるにきまってるじゃないですか。 |
望月委員 |
ぶどう運び専門のバイトというのがそもそもあるんですか? |
双葉博士 |
…どうなんでしょうかねえ…。 |
高橋委員 |
どうしてごまかすんですか。 |
獅子ヶ島委員 |
もしかしていかがわしいバイトじゃないだろうね(笑) |
双葉博士 |
いかがわしいバイトなんかじゃありませんよ! 私の作った…ゴッ! |
獅子ヶ島委員 |
わっ!な、なんだっ!そ、狙撃かっ! |
高橋委員 |
大丈夫ですか、博士。 あれ…この飛び散った汁とにおいは… |
望月委員 |
ぶどう、ですね。 |
レムミ助手 |
女の後頭部につぶれた葡萄。それは真実の投擲。近在のバッティングセンター。それは葡萄バッティングセンター。飛び散る巨峰、デラウェア、アレキサンドリア。大きくそれた葡萄、女の元にかえる。葡萄ピッチングマシーン。それはもうひとつの顔。運ぶだけでなく投げる。運び投げ。日本の国技相撲の82のフィニッシュブロウからは限りなく自由、運び投げ。それは真実の投擲。投げられたものはすする。蟻がたかる。そして大地に還る。 |