}【これまでのあらすじ】 |
解いたのは行方不明の執事だけどな。
| いいんだよワトスン君。謎などというものは解かれてしまえば誰の関心もひかないものさ。 |
仮にもミステリーだとか言ってるなら解いた課程ぐらいは説明しろよ。
| それは無理だよ。だって執事は答えしか書いてなかったし。 |
僕の見たところ、この執事はたいへん有能な人物だと思うよ。 |
| この儀式文には12世紀の英語が使われている…。今の大英帝国人にそう簡単に読みこなせるものじゃない…。つまり相当な教養を持っている…。 |
しかし、情報の整理は得意だが、今ひとつ決断を下すといった作業は苦手のようだ。 |
そんなことまでわかるのか？
| 見たまえ、この答えを書いた後に何度もペンで点を打った後がある。 |
| これは、答えを出したものの、本当にその答えでいいか、迷っている証拠だ。よく考え事をしている時に意味なくペンで点を打つ癖がある奴がいるだろう。 |
| つまり普段は決断を必要とする仕事をしていないんだ。 |
なるほど。
この事から導き出される答えは…。 |
……。
| 執事！執事の職業は、執事だ!! |
アホかあっ!!
| 何か僕が間違ったことを言ったかね？ |
| まあ下らん茶番はこの程度にして、穴を掘りに行くぞ。 |
ぐががががが。
おーい、マスグレーヴ、準備は出来たかー。 |
| な、なんだいそれは。 |
シャベル…？その金ぴかで宝石がちりばめられたそれがシャベルか？ |
| いや、普通は鉄で出来たものなんだが。 |
まったくこれだから金持ちは…。 |
でもこれでちゃんと掘れるんだ。ほらほら。
| ああもったいない。 |
明らかに鉄のほうが便利だぞ。 |
そうなのかい？
| 考えてもみろ、金は金属の中でもかなり柔らかい方だぞ。それよりは固い鉄で掘ったほうが効率がいいに決まってるだろう。 |
| うわあ。 |
でもなあ…ダイヤモンドは衝撃に弱いから、石にでもぶつかったら一瞬でつぶれるぞ。 |
| うーむ、ポジティブシンキングというかなんというか。 |
| あああっ！ |
ホームズ！やったよ！何か掘り当てたよ！
ああああ、やってしまったか。 |
あれっ。これは、石の蓋みたいだね。
| うむ、この下に地下室があるのだな。 |
よっこいしょ。 |
あっ！
| な、謎の石段が！ |
だいぶ前から知ってたけどな。
| よし！中に入るぞ！マスグレーヴ！ランプを持ってきてくれ！ |
よいしょよいしょ。
| な、なんだよそれは。 |
その宝石がじゃらじゃらついたそれが、ランプ？…もういいや。とりあえず行くぞ。 |
| なんだよ。 |
| 蓋？ |
この蓋置きに、ちゃんと置かないと。
そんな限定された用途のものまで、黄金と宝石でかざるなあっ！ |
早く入れっ！